IHANOYA DIARY

2006年06月06日 ダ・ヴィンチ・コード観てきましたよ。

館内のポスター


:またも自由業の利。平日真っ昼間から、映画「ダ・ヴィンチ・コード」を観てきました。


:感想は、ネタバレになるので後に書きます。ただ、これから観る人に言えることは、次の二点。
1.原作を読んでから観ることをオススメします。
2.吹き替え版を観た方が良いかもしれません。
…ということです。
:もともと上下2巻の書籍を、2時間半とは言え1本の映画に収めようとするのですから、それだけでもなかなかに難しいと思います。しかも本作はサスペンス。さらには歴史モノかつ宗教モノ。歴史と宗教の知識を補いながら、同時に謎を解いていき、ストーリーも進めなくてはならないことになります。加えて、観客を飽きさせないように、適度なアクションシーンも必要となれば…。
:結果、この映画は難解な字幕が高速で展開して進行するものになっています。字幕を追いながら画面を観て、なおかつその内容を咀嚼するのは至難の業。僕自身、何度か字幕を読み損ないましたよ(笑)。原作を読んでいたから流れは分かったものの、原作を未読かつキリスト教の歴史を知らないままでこの物語に触れるのは、相当シンドいのではないでしょうか。


:以下、ネタバレを含む内容になります。ご注意を。

:まず配役に関しては、実際に観るまでに色々と思うところがありました。原作を読んだ際のイメージは人それぞれですが、個人的にはトム・ハンクスとジャン・レノがイマイチしっくり来なかったんですよね。ラングドンはもう少しスマートな、清潔な紳士然としたイメージでした。ハーシュ警部は「猛牛」のあだ名から、逆にもっとマッチョでエネルギッシュで高圧的な人物をイメージしてたんです。で、鑑賞後に思ったのは、トム・ハンクスはやっぱり微妙(笑)。一方、ストーリーが若干変わっているせいで、ハーシュ警部に関してはむしろジャン・レノ大正解でした。後は、イアン・マッケラン(リー)、ポール・ベタニー(シラス)は素晴らしいし、オドレイ・トトゥには終始見入ってしまいましたよ(笑)。


:上記の通り、この映画は内容がギッチギチに詰め込まれたものになりました。難解な説明を含むサスペンスとなれば、普通は眠たくなる内容を懸念されるのだと思いますが、どうしてこうも息をもつかせぬ忙しい映画になってしまったのでしょう(笑)。超絶的な展開で、物語は展開します。謎はもはや謎ではなく、ラングドンの高速回転する脳みそ積み重なる幸運がアッサリと話を先に進めていきます。サスペンスとしての面白さは、この映画には望めません。
:そうして物語は、雪崩のようにラストへ突進するのですが、このラストが原作と違ってるんですね。どう違ってるかは書きませんが、この映画の展開ならあのラストはアリだと思います。逆に原作ほどにじっくりと展開していたとしたら、あれじゃ物足りませんけどね。
:上映終了後、周りの声に聞き耳を立ててると、「ヴェルネ豹変の理由」や「リーの目的」が分からなかった人が多かったようです。特にリーの目的に関しては、本人の説明が比喩的であることと、その説明シーンがアクションシーンと同時進行だったために気が散ってしまうこともあり、字幕がすんなり頭に入ってこなかったこともあったかもしれません。


:映画を観る前に原作を読むべきだ、というのは一般的に正しいことだとは思いません。書籍・映画それぞれに、独立した媒体として楽しめるべきだと思うからです。その意味では、本作はダ・ヴィンチ・コードの「映画化」ではなく、「映像化」として捉えたほうが良いのではないかという気がするのです。原作を読んだ人間とすれば、小説の舞台となる歴史的・文化的な施設の数々を目で見ての楽しめるだけでも、映画の存在は大きい。時間があれば、映画を観た後で再度原作を読むというのも面白そうです。映像で観た舞台の数々を思い浮かべて読めば、また違う興奮を味わうことも出来るでしょうね。


:最後に。映画でも最後に字幕までだして弁明していましたが、このお話は全てが実話に基づく訳ではありません。実話と大ウソが混然一体となっています。その意味で、原作は非常に知的好奇心を刺激される書籍です。その好奇心に従って色々と調べていけば、「この難解な映画がどうして話題作になっているのか」という点について分かると思いますので、それもオススメしておきますね。

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