IHANOYA DIARY

2004年03月01日 理想と現実。

:就職活動をする前、理想の就職先として思い描いていたのは、例えばこんな会社でした。1.京都にオフィスを構え 2.マンションの一室のような小さな事務所で 3.従業員は4~5人 6.誉めて育てるタイプの上司がいる …なんという甘っちょろい考えでしょうか。(笑) 
:去年の秋から冬に掛けて、僕はネットで会社を検索したりしながら、とりあえず作品集の作成に日々を費やしていました。作品集に載せる作品もまだまだ充分とは言えませんでしたし、自分のスキルにも全く自信がありませんでしたね。このまま就職したら、「こんなことも出来んのか!」と怒られるんじゃないか…そんなことを思うと、作りかけの作品集も一から作り直したくなりました。
:11月の初めには祖母が亡くなり、その時初めて就職に焦りを感じたりしました。祖母は秋になってからというもの意識がないままだったのですが、それでも生前に安心させられるような報告が出来なかったことが悔しかったです。初孫が就職につまづいたということは、少なからず気になっていたと思うのです。その上、祖父までが「どっちかが先に死んだら、一ヶ月以内に迎えに来ると約束している」なんて言い出す始末。だからという訳ではないですが、祖父には何とか良い報告をしよう、という気持ちが強くありました。
:そのちょうど一ヵ月後、知り合いから電話が掛かってきます。それが今の事務所にアルバイトで勤務する切っ掛けでした。京都のWEBデザイン事務所で、マンションの一室、従業員は当時社長を含めて実質五人…。出来すぎのような気がしましたが、アルバイトであろうと二つ返事で引き受け、出来立てのオリジナル履歴書の一枚目を持って行きました。
:あれから三ヶ月。今日3月1日付けで、社員となりました。
:会社はアットホームな雰囲気。部下を誉め、かばってくれる社長…。就職活動前に抱いていた都合の良すぎる理想は、ほとんど全て現実になったことになります。自分でもあまり実感はありませんが、こういうこともあるんだ、と思うほかありません。
:頬をつねる以外ただ一つ、この現実を実感する術は、これは祖母がもたらしてくれたものだと思うことです。自分の力では何一つ出来ていない。引き篭もっていた穴倉に、ある日ロープが垂らされてきて、僕はそれを都合よくつかんだだけなのです。幸運という名のロープをもたらしたのは、見えざる力。今の僕には例えばそれが亡くなった祖母だと思う事ができます。
:昨日、祖父を訪ねましたが、祖父は「約束していたのに、上手いことイカンもんや」と言って笑っていました。前より少し元気になった気がします。いつか海辺に行って刺身が食べたい、と言っていたので、近くそれを実現しようと家族で話しています。祖母の墓前には来月報告しに行くことが決まっています。
:あとは、このロープを離さないようにしていくことですよね。

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