IHANOYA DIARY

2005年11月20日 郷愁。


:滅多に映画を観ない僕ですが、いま「ALWAYS 三丁目の夕日」という映画に惹かれています。
:CGで再現された昭和33年の東京。その頃の人々の飾り気ない日常を描いた映画のようですね。もちろん僕は東京に馴染みはないし、その時代を生きてもいません。でも予告を見るだけで、無条件に懐かしい気持ちが湧いてくるのです。
:↑ 上に載せた市電の本、昔ウチのサイトに紹介文を載せていた事がありました。昭和50年頃まで、京都にも路面電車が走っていたのです。実際走っていた頃の記憶は僕にはありませんが、子供の頃に遊んでいた公園には、市電の車両を改造した児童館が併設されていました。街の中にも面影はもうほとんどありません。わずかに今も部分的に路面を走る嵐電を見て、遠い日を思い描くくらいです。
:この本は、京都市内を走る市電の雄姿で彩られています。市電、そしてその背後に広がる昭和50年代までの京都の風景。そこに当時を懐かしむ情感たっぷりな文章が添えられ、市電ファンでなくとも、京都にゆかりのある人なら楽しめる内容になっています。
:僕は、市電とすれ違うように、この世に生まれてきました。ですから、この本に載せられている風景は、僕が生まれた頃とそれほど隔たりのない時代のものです。僕が母や祖母に手を引かれながら見ていた、ぼんやりとした風景の記憶。この本を見ながら、そういった記憶を紐解いていこうとすると、風景だけでなく、家族の姿も浮かんできます。若かった頃の両親、元気だった頃の祖父母、そしてその頃の自分自身。
:去年・一昨年と、祖父母を相次いで亡くしました。身近な人を亡くしてから、家族というものの存在を改めて考えるようになりました。郷愁というものは、故郷という「場所」だけが与えてくれる感情ではないことを、最近つくづく感じています。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://iha124.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/166

コメント

コメントを投稿

※内容確認のため、コメントが実際に掲載されるまでに時間が掛かることがあります。投稿ボタンを何度も押したりせず、掲載されるまでお待ち下さい。