第08MS小隊、観ました。

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これはどうなんだろう……。

「第08MS小隊」は、1年戦争当時、ホワイトベースの活躍とは別のところで起こっていた出来事を描いたOVAのシリーズ。東南アジアの戦場に地球連邦軍の小隊長として送り込まれた青年士官「シロー・アマダ」とその部下たちの戦いを描いた全11話の小編です。1年戦争末期に投入されたはずのジムが早い時期から宇宙で使われていたり、そうかと思えば量産型のガンダムがアジアの小隊に何機も配備されていたりと、舞台設定はかなりの無理くり。それでも、旧式のMSがきれいな画質で動き回るのには興奮を覚えました。

さて、以降はネタバレに付きご注意ください。これはネタバレなしに語れません……。

任務に燃え、かなり無鉄砲なところがある若きシロー・アマダ隊長は、当初は部下たちに「甘ちゃん」などと陰口を叩かれ、軽んじられます。しかしその猪突猛進な行動力と持ち前の運の強さで苦境を跳ね返し、次第に部下たちの見る目も変わっていくわけです。序盤だけ見れば、やがて隊長と部下とが強い信頼で結ばれていく熱い展開が予想できました。キャラクターも感情移入しやすいし、これは終盤泣ける流れになるかもと胸躍りました。

しかし中盤から、物語は大きく迷走を始めます。シロー隊長はかつて一目惚れしたジオンの女性兵士「アイナ・サハリン」と再会し、それ以降、戦うことに疑問を持ち始めるのです。ジオンは悪人ばかりじゃない、そんなジオンの人たちを殺している自分の行動は正しいのか……。結果、彼はついに仲間を見捨てて連邦軍を退役し、逃亡生活に身を投じるのです。間もなく戦争は終わり、小隊は解散。部下たちもそれぞれ別々の場所に散っていくのでした。

「ジオンは悪人ばかりじゃない」なんて、当たり前のことです。アイナに惚れて突然そんなことを言い出して、結果として部下を放り出して愛の逃避行。それでも隊長か。もっと言えばそれでも職業軍人か、と。部下たちはそれぞれ軍と隊長との間で苦悶していたのに、隊長ばかりはアイナのことだけ考えて勝手に行動するばかり。それをまた、肯定するかのような演出も馴染めませんでした。

軍という巨大な組織の中で、一人の軍人が信念を貫き通すのが難しいのは分かります。そのために、部下を犠牲にせざるを得なかったというのも現実的でしょう。ただ、シローの場合は、信念と言うにはあまりに唐突で説得力がない……。序盤の猪突猛進ぶりからすると、一度思い込んだら人の話を聞かない困った人にしか見えないんですね。

本シリーズは途中で監督が交代されたらしいんですが、それが物語の流れにどこまで影響しているかは分かりません。ただ、序盤のワクワク感がどんどん失われていってしまって、結果としては「見たかったのはこんなストーリーじゃなかったな……」という感想に行きついてしまいました。本編には出てこないOPのミリタリー描写とか、本編には出てこないOPとEDの和気藹藹とした小隊の雰囲気、ノリスのグフカスとか、田中公平さんの音楽とか、燃える要素はたくさんあったのに……。残念です。

 

▼ 主役メカはせいぜいジムでよかったよね。

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